措置命令・許可の取消・使用停止命令

第1章39節では、措置命令・許可の取消(取消し)・使用停止命令をセットで整理します。
試験では、「だれが」「だれに」「何を命じるか」の3ポイントが鉄板です。 ここを一気におさえておきましょう。

措置命令とは

市町村長等が、一定の違反や危険があるときに、 製造所等の所有者・管理者・占有者(以下「所有者等」といいます。)に対して、 危険をなくすための必要な措置を命じることです。

まずはここだけ押さえよう!

措置命令は「誰が・誰に・何をさせるか」の3点セットで覚える。

  • 命令する人:市町村長等
  • 命令される人:所有者等(所有者・管理者・占有者)
  • 中身:危険を減らすための「必要な措置をとれ」という命令

措置命令の種類

措置命令の主な類型と発動場面の一覧
命令 該当事項
危険物の貯蔵/
取扱基準遵守命令
製造所等における危険物の貯蔵・取扱いが、技術上の基準に 適合していないと認められるときに発する命令です。
危険物施設の基準適合命令
(修理・改造・移転の命令)
製造所等の位置・構造・設備が、技術上の基準に 適合していないと認められるときに発する命令です。
所有者等のうち、修理等を行う権限(権原)を有する者に対して行います。
危険物保安統括管理者または
危険物保安監督者の解任命令
これらの者が消防法(または消防法に基づく命令)に違反したとき、または 引き続き業務を行わせることが公共の安全の維持災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがあると認められるときに発する命令です。
予防規定変更命令 火災予防上必要があると認められるときに、予防規定の内容を変更させる命令です。
危険物施設の
応急措置命令
危険物の流出などの事故が発生したにもかかわらず、必要な応急の措置講じられていないと認められるときに発する命令です。
移動タンク貯蔵所の
応急措置命令
管轄区域内の移動タンク貯蔵所で、危険物の流出・火災・爆発などの事故が発生し、 必要な応急の措置講じられていないと認められるときに、 応急の措置を講ずべきことを命ずる命令です。

出る出るポイント!

  • 区別:措置命令=直せ/使用停止=止めろ/許可取消=許可が消える。
  • 相手:基本は所有者等。基準適合命令は権原を有する者。
  • 基準:貯蔵・取扱いの基準か、位置・構造・設備の基準か。

ひっかけ注意!

  • 「直せ/止めろ/許可が消える」を混ぜて出される。
  • 「貯蔵・取扱い」と「位置・構造・設備」を取り違えさせにくる。

おっとNG!

移動タンクは「事故が起きた」だけじゃない。事故+応急措置してないがセットだよ。

無許可貯蔵等の危険物に対する措置命令

指定数量以上の危険物を、仮貯蔵・仮取扱いの承認や、 製造所等の許可なしで貯蔵・取扱いしていると――危ないです。
そこで市町村長等は、その者に対して 危険物の除去災害防止のための必要な措置命ずることができます

  • 撤去・回収・移送(その場からどかせ)
  • 封鎖・養生・回収材の設置(漏れ・流出を止めろ)
  • 掲示・警報・立入管理(近づけるな/二次災害を防げ)

まずはここだけ押さえよう!

  • トリガー指定数量以上 × 承認・許可なし
  • 相手:無承認・無許可で貯蔵/取扱いしているその人
  • 結論撤去(除去)+漏れ止め+立入管理をやらせる

※ 文言が「命ずることができる」=裁量(必ず命令、じゃない)。

緊急使用停止命令

市町村長等は、公共の安全の維持や災害の発生を防止するために 緊急の必要があると認めたとき、製造所等の 所有者・管理者・占有者(以下「所有者等」)に対して、 施設の使用を一時停止すること、またはその使用を制限することを 命じることができます。

※トリガーは「緊急の必要」「できる」=裁量(必ず止める命令じゃない)

  • 運転停止(漏えい・爆発のおそれが切迫)
  • 使用制限(危険区域の立入制限・特定行為の一時禁止)

危険物取扱者免状の返納命令

危険物取扱者が消防法(または命令)に違反していると認められたときは、 免状を交付した都道府県知事が、当該取扱者に 免状の返納を命じることができます。

返せって命令。返したらその資格はその場でストップ(実務運用もあり)

  • 法令違反をした(取扱者として危ない、と判断されるケース)
  • 保安講習の未受講(受講義務者)も対象になり得る

出る出るポイント!

  • 緊急使用停止:トリガーは「緊急の必要」
  • 返納命令免状交付知事返せと命じる
  • どっちも「できる」=裁量(義務じゃない)

ひっかけ注意!

  • 使用停止は「施設を止める」/返納は「資格をはく奪」
  • 市町村長等(施設側)と、都道府県知事(免状側)を混ぜない

おっとNG!

「できる」「しなければならない」に脳内変換するのは事故る。

罰金または拘留となる違反

次の違反は、罰金または拘留の対象です。 ただし、ここで挙げるものは、それ自体が直ちに 許可の取消や使用停止命令に結びつく類型ではありません。 「用語」と「対象行為」をセットで押さえましょう。

※拘留=短期間の身柄拘束(ざっくり理解でOK)

用語と対象行為

  • 製造所等の譲渡・引渡し・廃止に関する 届出義務違反
  • 危険物の品名・数量・指定数量の倍数を変更した際の 届出義務違反
  • 危険物保安統括管理者・危険物保安監督者の選任・解任に関する 届出義務違反
  • 製造所等における取扱いで、立会いなし (甲種・乙種の立会いがない場合)
  • 予防規定の変更命令に対する 命令違反
  • 予防規定の作成・認可に関する 規定違反

覚え方:届出義務の違反が3つ、あとは「立会い」「命令」「予防規定」。

出る出るポイント!

  • まずは整理:罰金・拘留=刑事罰/取消・停止=行政処分。
  • 「届出義務違反」は軽視しがち。イベントを時系列で押さえる(譲渡・引渡し・廃止/品名・数量・指定数量倍数の変更/選任・解任)。
  • 覚え方の軸:人の義務(選任・解任)と、施設側の手続(譲渡・引渡し・廃止)を分ける。
  • 「危険物取扱者以外」の取扱いは、ポイントは一つ。立会いの有無
  • 予防規定は論点が2つ:変更命令への違反/作成・認可まわりの違反。用語を混ぜない。

ひっかけ注意!

  • 問題文の否定に注意。「取消・停止の対象とならない」を読み落とすと、反射で“処分”に結びつけて落とす。
  • 「危険物取扱者以外=即アウト」ではない。立会いがあればセーフ、立会いなしがアウト。
  • 「届出の相手」「期限」「様式」が付いた設問は、内容よりも相手先(市町村長等)を問うパターンがある。
  • 罰則の数字は条文依存。数字丸暗記より、まずは違反の類型をセットで整理(数字を聞かれた時だけピンポイント暗記)。
  • 予防規定の用語トラップ:変更命令違反と、作成・認可の違反を取り違えると一気に崩れる。

許可の取消しまたは使用停止命令

許可の取消し・使用停止命令につながる代表的な類型を、試験で出やすいものから整理します。

許可の取消し・使用停止命令の主な該当類型と要点の一覧
類型 該当事項
無許可変更 製造所等の位置・構造・設備許可を受けずに変更した場合に該当します。
完成検査前の使用 完成検査済証の交付前に使用した場合、または 仮使用の承認を受けずに使用した場合に該当します。
措置命令違反 位置・構造・設備に係る措置命令に違反した場合に該当します。
(例:修理・改造・移転の命令に従わない場合)
保安検査未実施 政令で定める屋外タンク貯蔵所または 移送取扱所について、保安の検査を 受けていない場合に該当します。
定期点検未実施 定期点検の未実施や、 点検記録の作成・保存がない場合に該当します。

出る出るポイント!

  • 行政処分の重さは「取消し > 使用停止」だよ。取消しは戻すの大変だから、ここはマジで要注意。
  • 無許可変更は「位置・構造・設備」が合図。ここ見えたらまず無許可変更を疑え。
  • 完成検査前の使用は「完成検査済証の前」か「仮使用の承認なし」がサインだよ。
  • 措置命令違反は「修理」「改造」「移転」みたいな具体ワードで出がち。しかも命令の対象は“位置・構造・設備”ってセットで覚えとこ。
  • 保安検査は対象が決まってる(屋外タンク貯蔵所・移送取扱所)。施設名を読み飛ばすと一発で落とすやつ。
  • 定期点検は「実施・記録作成・記録保存」の3点セット。どれか欠けたらアウト、って覚えとけばOK。

ひっかけ注意!

  • 無許可変更は“モノ(位置・構造・設備)を変えた”話。取扱基準違反は“扱い方ルール”の話。まず「どっちの話?」を切り分けろ。
  • 「取消し/使用停止」と「罰金/拘留」は混ぜるな危険。前者は行政処分、後者は刑事罰だよ。
  • 語尾が「〜できる」なら“やってもいい(裁量)”。「〜しなければならない」と真逆だから、ここで引っかかるな。

使用停止命令

市町村長等は、製造所等の所有者・管理者・占有者 (以下「所有者等」といいます。)が次のいずれかに当てはまるとき、 当該製造所等について一定期間、施設の使用停止を命じることができます。

使用停止命令の主な該当類型と要点の一覧
類型 該当事項
貯蔵/
取扱基準遵守命令違反
危険物の貯蔵・取扱い基準に関する 遵守命令に違反した場合に該当します。
移動タンク貯蔵所については、 当該市町村長の管轄区域内で命令違反があったときが対象です。
未選任等 危険物保安統括管理者を選任していない場合、 または選任していても、保安に関する業務を 統括管理させていない場合に該当します。
解任命令違反 危険物保安統括管理者または危険物保安監督者に対する 解任命令に従わなかった場合に該当します。

出る出るポイント!

  • 「期間を定めて」がキーワードです。「ずっと停止」じゃなくて、期間付きの停止だと押さえておきましょう。
  • 行政処分の重さは「使用停止命令 < 許可の取消し」のイメージでOKです。取消しはほぼ復活できない最終カードです。
  • 遵守命令違反は「危険物の貯蔵・取扱い基準」に関する命令です。「位置・構造・設備」に関する命令とは別物として覚えましょう。
  • 未選任等は「選んでいない」だけじゃなく、選んでいても統括管理させていないとアウトになるパターンもセットで出ます。

ひっかけ注意!

  • 移動タンク貯蔵所は、市町村長の管轄区域内での違反だけが対象です。場所の条件を問題文でチェックしましょう。
  • 解任命令違反は、統括管理者だけじゃなく保安監督者もセットで問われます。どっちが対象か読み飛ばさないように。
  • 問題文の「〜することができる」は裁量あり、「〜しなければならない」は義務です。ここを取り違えると一気に持っていかれます。
  • この条文の「使用停止命令」と、別のセクションの「罰金・拘留」はジャンル違いです。行政処分と刑事罰をごっちゃにしないように気をつけましょう。

立入検査

立入検査は、危険物の貯蔵・取扱いで火災を起こさないよう、 必要があると認めたときに 現場の状況をチェックするための制度です。

市町村長等による立入検査

市町村長等は、指定数量以上の危険物を貯蔵・取扱っていると認められる すべての場所(貯蔵所等)について、 所有者等に資料の提出報告を求めることができます。 また、消防職員を立ち入らせて検査・質問を行わせ、 必要に応じて危険物を収去(取り去る)させることができます。

  • 帳票の提出や、設備・管理状況の報告を求める。
  • 職員が現場に入り、位置・構造・設備・管理状況を確認する。
  • 安全確保のため、必要な範囲で危険物を収去する。

ここでの「必要があると認めるとき」は、 市町村長等の裁量で判断する、という意味です。

消防長・消防署長による立入検査

消防長または消防署長も、火災予防のため必要があるときは、 関係者に資料の提出報告を求めることができます。 さらに、消防職員を仕事場・工場・公衆の出入りする場所などに立ち入らせ、 対象物の位置・構造・設備・管理の状況を検査させたり、 関係者に質問させたりできます。

消防職員が関係場所に立ち入るときは、 市町村長が定める証票を携帯しなければなりません。 ここは頻出ポイントです。

まずはここだけ押さえよう!

立入検査を断ったり資料を出せという命令を無視したりすると、 30万円以下の罰金または拘留になることがあります。

出る出るポイント!

  • 立入検査の権限者は市町村長等消防長・消防署長。誰が動く話かセットで覚えておく。
  • 対象になる場所は「指定数量以上を貯蔵・取扱うと認められるすべての場所」。ざっくり「怪しそうな場所は一通りチェックできる」とイメージしよう。
  • 立入の目的はあくまで火災予防。刑事事件の捜査じゃなくて「火事を起こさせないためのチェック」だと押さえておく。
  • 所有者・管理者・占有者のどの立場に向けた話なのか、問題文の主語を見るクセをつけておこう。

ひっかけ注意!

  • 「〜することができる」はやってもいい(裁量)、「〜しなければならない」は絶対やる(義務)。この向き違いはよく聞かれるぞ。
  • 収去は「その場所から取り去る」こと。押収(証拠として取り上げる)とは別モノだからごっちゃにしないように。
  • 立入のときに証票を持つのは消防職員。誰の証票か入れ替えてくる問題に注意だ。
  • 立入検査を拒否・無視すると、さっきの罰金・拘留コース。単なる「注意されて終わり」じゃないってところも要注意。

クイズ

措置命令の種類に該当しないのは、次のうちどれか。

次は第1章40節:事故発生時の応急措置に進みます。

事故発生時の応急措置