措置命令・許可の取消・使用停止命令

措置命令の種類

措置命令の主な類型と発動場面の一覧です。
命令 該当事項
危険物の貯蔵・取扱基準遵守命令 製造所等で危険物の貯蔵・取扱いが技術上の基準に 適合していないときに発する命令です。
危険物施設の基準適合命令
修理・改造・移転の命令
製造所等の位置・構造・設備が技術上の基準に 適合していないときに発する命令です。
製造所等の所有者等で権原を有する者に対して行います。
危険物保安統括管理者または危険物保安監督者の解任命令 これらの者が消防法または消防法に基づく命令に違反したとき、または 業務を行わせることが公共の安全の維持災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがあると認めるときに 発する命令です。
予防規定変更命令 火災予防上必要があると認めるときに、予防規定の内容を変更させる命令です。
危険物施設の応急措置命令 危険物の流出その他の事故が発生したにもかかわらず、 必要な応急の措置を講じていないときに発する命令です。
移動タンク貯蔵所の応急措置命令 管轄区域内の移動タンク貯蔵所において、危険物の流出その他の事故が 発生したときに発する命令です。

頻出ポイント/ひっかけ注意

  • 区別措置命令=直させます使用停止=動かしません許可の取消=許可自体を失わせます
  • 文言の向き:「〜命ずることができる」は裁量、「〜しなければならない」は義務です。
  • 命令の相手所有者・管理者・占有者が基本です。基準適合命令は権原を有する者に対して行います。
  • 基準不適合の見分け:「危険物の貯蔵・取扱いの基準」違反と、「位置・構造・設備の基準」違反を取り違えないようにします。
  • 解任命令の要件:保安統括管理者・監督者の違反、または業務を行わせることが公共の安全・災害防止に支障おそれがある場合です(2本立てです)。
  • 予防規定変更命令:「火災予防のため必要があると認めるとき」です。機械的に常時必要とするわけではありません。
  • 応急措置命令:事故発生時に応急措置を講じていない場合に命じます。移動タンクは「管轄区域内で事故発生」がトリガーです。
  • 重さの序列取消が最重で回復が困難、次いで使用停止、内容によっては措置命令も影響が大きくなります。

無許可貯蔵等の危険物に対する措置命令

緊急使用停止命令

危険物取扱者免状の返納命令

罰金または拘留となる違反

次の違反は、罰金や拘留の対象になりますが、 直接に許可の取消使用停止命令の対象とならないものです。 用語と対象行為をセットで押さえましょう。

頻出ポイント/ひっかけ注意

  • 刑事罰と行政処分は別物として整理します。罰金・拘留は刑事罰、取消・停止は行政処分です。
  • 届出義務違反は“やってしまいがち”な軽視ポイントです。どのイベントで届出が要るかを時系列で覚えましょう。
  • 人の義務施設の義務を分けて考えます(選任・解任=人/譲渡・廃止=施設)。
  • 「危険物取扱者以外」の取扱いは、立会いの有無がカギです。立会いがなければアウトです。
  • 「予防規定変更命令違反」と「予防規定作成・認可の違反」は別論点です。用語を取り違えないようにしましょう。
  • 問題文の「取消・停止の対象とならない」を見落とさないようにします。つい“処分”に結びつけて誤答しがちです。
  • 罰の重さは条文依存です。数字を丸暗記するより、違反の類型をセットで覚えるとミスが減ります。
  • 「届出の相手」「期限」「様式」の指定がある設問では、相手先(市町村長等)を確認しましょう。

許可の取消しまたは使用停止命令

許可の取消し・使用停止命令の主な該当類型と要点の一覧です。
類型 該当事項
無許可変更 製造所等の位置・構造・設備許可を受けずに変更した場合に該当します。
完成検査前の使用 完成検査済証の交付前に使用した場合、または 仮使用の承認を受けずに使用した場合に該当します。
措置命令違反 位置・構造・設備に係る措置命令に違反した場合に該当します。
(例:修理・改造・移転の命令に従わない場合)
保安検査未実施 政令で定める屋外タンク貯蔵所または 移送取扱所について、保安の検査を 受けていない場合に該当します。
定期点検未実施 定期点検の未実施や、 点検記録の作成・保存がない場合に該当します。

頻出ポイント/ひっかけ注意

  • 行政処分の重さは「許可の取消し > 使用停止命令」です。取消しは回復が難しいので要注意です。
  • 無許可変更は「位置・構造・設備」がキーワードです。取扱基準違反と取り違えないようにしましょう。
  • 完成検査前の使用は「完成検査済証」「仮使用の承認」の有無を必ず確認しましょう。
  • 措置命令違反の出題は、修理・改造・移転命令など具体語で来ます。命令の対象が位置・構造・設備である点が合図です。
  • 保安検査は対象施設が限定されます(屋外タンク貯蔵所・移送取扱所)。施設名を読み飛ばさないようにしましょう。
  • 定期点検は「実施」「記録の作成」「記録の保存」の三点セットで問われます。どれが欠けてもアウトです。
  • 問題文の「取消しまたは使用停止命令」の範囲と、別セクションの「罰金・拘留」は切り分けて考えましょう。
  • 語尾の「〜することができる」は裁量を示します。機械的な義務と混同しないようにしましょう。

使用停止命令

市町村長等は、製造所等の 所有者・管理者・占有者(以下「所有者等」といいます。)が 次のいずれかに該当するとき、当該製造所等について 期間を定めて施設の使用停止を命じることができます。

使用停止命令の主な該当類型と要点の一覧です。
類型 該当事項
貯蔵・取扱基準遵守命令違反 危険物の貯蔵・取扱い基準に関する 遵守命令に違反した場合に該当します。
移動タンク貯蔵所については、 当該市町村長の管轄区域内で命令違反があったときが対象です。
未選任等 危険物保安統括管理者を定めていない場合、または 当該者に保安に関する業務を統括管理させていない場合に該当します。
解任命令違反 危険物保安統括管理者または危険物保安監督者に対する 解任命令に違反した場合に該当します。

頻出ポイント/ひっかけ注意

  • 期間を定めてがキーワードです。無期限の停止と取り違えないようにしましょう。
  • 行政処分の重さは「使用停止命令 < 許可の取消し」です。回復可能性の違いを押さえましょう。
  • 遵守命令違反は「貯蔵・取扱い基準」に関する命令です。「位置・構造・設備」の命令(修理・改造・移転)は別枠です。
  • 移動タンク貯蔵所管轄区域内の違反がトリガーです。場所の条件を見落とさないようにしましょう。
  • 未選任等は「選任していない」だけでなく「選任していても統括管理させていない」場合も該当します。
  • 解任命令違反は、統括管理者監督者のどちらにも及びます。対象者を読み飛ばさないようにしましょう。
  • 問題文の「〜することができる」は裁量を示します。機械的な義務と混同しないようにしましょう。
  • 本条の「使用停止命令」と、別セクションの「罰金・拘留」は切り分けて整理しましょう。

立入検査

※ 立入検査の拒否や、資料提出命令等への不履行があった場合は、 30万円以下の罰金または拘留となることがあります。

頻出ポイント/ひっかけ注意

  • 誰の権限かを区別しましょう:市町村長等消防長・消防署長
  • できる/しなければならないの向きに注意しましょう(裁量か義務か)。
  • 対象場所は「指定数量以上を貯蔵・取扱うと認められるすべての場所」です。
  • 収去=一定の場所から取り去ることです。押収と混同しないようにしましょう。
  • 立入時は消防職員が証票携帯です。誰の証票かを取り違えないようにしましょう。
  • 立入の目的は火災予防です。刑事捜査と混同しないようにしましょう。
  • 拒否・不履行には罰則(罰金または拘留)があります。行政指導だけではありません。
  • 所有者・管理者・占有者のどれに対して行うのか、設問の主語を必ず確認しましょう。

クイズ

措置命令の種類に該当しないのは次のうちどれですか。

次は第1章40節:事故発生時の応急措置に進みましょう。

事故発生時の応急措置