保有空地の幅と必要な製造所等

危険物を取り扱う製造所等の周囲には、次の表に掲げる区分に応じて、 それぞれ定められた幅の空地(保有空地)を確保しなければなりません。 ただし、規則で定めるところにより防火上有効な隔壁を設けた場合は、この限りではありません。 保有空地とは、消防活動および延焼防止のために、製造所等の周囲に確保する空地のことです。

保有空地の確保が必要となる製造所等は次のとおりです。 なお、必要とされる幅は、危険物施設の種類や、貯蔵・取扱う危険物の 指定数量の倍数などによって細かく定められています。

保有空地には、通行や消防活動の支障となる物品等を置いてはなりません

指定数量の倍数と保有空地の幅

製造所・一般取扱所について、指定数量の倍数に応じて確保すべき保有空地の幅を示します。

指定数量の倍数と保有空地の幅
施設区分 指定数量の倍数 保有空地の幅
製造所・一般取扱所 10以下 3m以上
製造所・一般取扱所 10を超える 5m以上

製造所等の指定数量の倍数と保有空地の幅

施設区分ごとに、指定数量の倍数や建築構造に応じて確保すべき保有空地の幅が異なります。

製造所等の指定数量の倍数と保有空地の幅
施設区分 規定の要点・具体例
屋内貯蔵所

指定数量の倍数および建築構造(耐火構造または不燃材料)に応じて、保有空地の幅が異なります。

  • 指定数量の倍数 5以下0.5m以上
  • 指定数量の倍数 5超10以下(耐火構造) → 1m以上
  • 指定数量の倍数 5超10以下(不燃材料) → 1.5m以上
屋外タンク貯蔵所
(指定数量の倍数:4,000以下

指定数量の倍数に応じて、保有空地の幅が異なります。

  • 指定数量の倍数 500以下3m以上
  • 指定数量の倍数 500超1,000以下5m以上
屋外タンク貯蔵所
(指定数量の倍数:4,000超

タンクの最大直径またはタンク高さのうち大きい方と同じ距離を保有空地とします。ただし、15m以上とします。

屋外貯蔵所

柵の周囲に、指定数量の倍数に応じた幅の空地を確保します。

  • 指定数量の倍数 10以下 → 柵等の周囲に3m以上
屋外に設ける簡易タンク貯蔵所

指定数量の倍数に関係なく、タンク周囲に1m以上の空地を確保します。

学習メモ:

  • 本節で扱うのは保有空地です。
    保有空地を必要とするのは、保有空地が必要な製造所等 (製造所・屋内貯蔵所・屋外貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・一般取扱所) に加えて、屋外に設ける簡易タンク貯蔵所です。
  • 耐火構造とは、建築基準法令で定める火災時の性能基準に基づく建築構造の区分の一つです。
    区分は耐火構造 > 準耐火構造 > 防火構造の順に燃えにくくなります。
  • 不燃材料とは、建築基準法令で定める防火材料の一つです。
    区分は不燃材料 > 準不燃材料 > 難燃材料の順に燃えにくくなります。

クイズ

屋外タンク貯蔵所で指定数量の倍数が4,000を超える場合、適切な保有空地は次のうちのどれか?

次は第1章22節:製造所の基準に進みます。

製造所の基準