概要
法令で定める製造所等の所有者等は、危険物施設保安員を定めなければなりません。危険物施設保安員は、製造所等の構造・設備の保安に関する業務を行います。
危険物施設保安員は、危険物保安監督者の指揮の下で、日常の巡視・点検、異常時の措置、保安記録の作成・保管などの業務を実施します(具体的な内容は保安規程に従います)。
学習メモ:危険物施設保安員は「選任義務のある役職」であり、危険物の取扱そのものを行う場合は別途危険物取扱者の要件(本人が有資格者または有資格者の立会い)が関わります。役割の切り分けを意識して覚えましょう。
危険物施設保安員の選任を必要とする製造所等
次の製造所等では、危険物施設保安員を定めなければなりません。
| 対象となる製造所等 | 貯蔵・取扱う危険物の数量等 |
|---|---|
| 製造所 | 指定数量の倍数が100以上 |
| 一般取扱所 | 指定数量の倍数が100以上 |
| 移送取扱所 | 指定数量に関係なく、すべて定める |
※「指定数量の倍数」は、実数量 ÷ 指定数量で算定します。複数品目がある場合は、品目ごとに(数量÷指定数量)を合算して判断します。
※ 鉱山保安法など他法令の適用を受ける製造所・移送取扱所・一般取扱所は対象外です。
選任・届出に関する事項
- 資格要件:危険物施設保安員になるための法定資格は規定されていません。したがって、危険物取扱者でない者や実務未経験者であっても選任できます(必要な教育・訓練は事業者の責任で実施します)。
- 届出:危険物施設保安員を選任・解任したときの届出義務はありません。
役割のイメージ(工場の場合):危険物保安統括管理者=工場長/危険物保安監督者=課長/危険物施設保安員=主任。実務では組織規模に応じて役職名が異なることがあります。
危険物施設保安員の業務
製造所等の所有者等は、危険物施設保安員に次の業務を行わせなければなりません。
- 製造所等の構造・設備が技術上の基準に適合するよう、定期および臨時の点検を実施します。
- 点検を実施したときは、点検箇所の状況および保安のために講じた措置を記録し、所定の期間保存します。
- 構造・設備に異常を発見した場合は、危険物保安監督者その他の関係者に速やかに連絡し、状況を判断して適切な措置を講じます。
- 火災が発生したとき、または火災の危険が著しいときは、危険物保安監督者と協力して応急措置(通報・初期消火・遮断・避難誘導等)を講じます。
- 計測装置・制御装置・安全装置等の機能が適正に保持されるよう、日常の保安管理(点検・調整・必要な補修)を行います。
- その他、構造・設備の保安に関して必要な業務を行います。
学習メモ:キーワードは点検→記録・保存→連絡→措置→応急の流れです。「誰に連絡(保安監督者)」と「何を保存(点検結果・措置)」を押さえると、選択肢の言い換えに強くなります。
クイズ
次は第1章15節:予防規定に進みます。