共通の基準【2】

同時に貯蔵できる場合

  1. 屋内貯蔵所または屋外貯蔵所では、危険物と危険物以外の物品を それぞれまとめて貯蔵し、相互に1m以上の間隔を確保する場合は、同時に貯蔵できます。
  2. 屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所・地下タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所では、 危険物と危険物以外の物品をそれぞれの区画に分けて貯蔵する場合は、同時に貯蔵できます。

※ 危険物以外の物品の具体例はここでは省略します。

また、法別表第1に掲げる類が異なる危険物は、原則として 同一の貯蔵所(耐火構造の隔壁で完全に区分された室が2以上ある場合は、 同一の室)で一緒に貯蔵しません

ただし、屋内貯蔵所または屋外貯蔵所において、 次のとおり類別ごとにそれぞれ取りまとめ、 相互に1m以上の間隔を確保する場合は、同時に貯蔵できます。

同時に貯蔵できる類

基準となる類 同時に貯蔵できる相手(条件付きを含む)
第1類
(※アルカリ金属の過酸化物等を除く)
第5類(有機過酸化物)
第1類 第6類(酸化性液体)
第2類 第3類のうち黄りん(およびその含有品)
アルキルアルミニウム等 第4類のうちアルキルアルミニウム又はアルキルリチウムを含有するもの
第4類 第5類のうち1-アリルオキシ-2,3-エポキシプロパン(アリルグリシジルエーテル) 又は4-メチリデンオキセタン-2-オン(いずれかの含有品を含む)

上記はいずれも屋内貯蔵所又は屋外貯蔵所で、類別ごとに取りまとめ、相互に1m以上の間隔を確保することが前提です(原則:類の異なる危険物は同一の貯蔵所で同時貯蔵しません)。

同時貯蔵・貯蔵方法のポイント

  • 水中保存物品と禁水性物品は同一貯蔵をしません

    第3類のうち黄りん等(水中保存する物品)禁水性物品は、 同一の貯蔵所で貯蔵しないようにします。

  • 屋内で多量に貯蔵するときは“区分&離隔”

    屋内貯蔵所で、同一品名の自然発火の恐れ又は災害が著しく増大する恐れのある危険物を 多量に貯蔵する場合は、指定数量の10倍以下ごとに区分し、 各区分の間は0.3 m以上離して貯蔵します。

  • 容器の積み重ね高さの上限

    対象 上限高さ 備考
    一般(蓄電器による貯蔵を除く) 3 m 屋内・屋外いずれも
    第4類の第3石油類・第4石油類・動植物油類のみ 4 m 当該類の容器のみを積み重ねる場合
    機械荷役対応容器のみ 6 m 機械により荷役する構造の容器のみ
    屋外貯蔵所の架台による貯蔵 6 m 架台高さの上限
    補足:電池関連の注記

    リチウムイオン蓄電池の電解液は一般に第4類第2石油類に該当します。 一定数量以上を取り扱う場合は危険物規制の対象になります。

  • 容器収納が原則(例外:塊状硫黄等の屋内例外)

    屋内・屋外の貯蔵は、原則として基準に適合する容器に収納して行います。 ただし、屋内貯蔵所で塊状の硫黄等(硫黄または硫黄含有品)を貯蔵する場合は、 この限りではありません。

  • 屋内の容器は55℃を超えないよう管理

    屋内貯蔵所では、容器収納して貯蔵する危険物の温度が 55 ℃を超えないように必要な措置を講じます。

  • 計量口・元弁・注入口の弁は「作業時以外は閉鎖」

    屋外・屋内・地下の各貯蔵タンク計量口は、 計量時以外は閉鎖します。
    また、これらタンクの元弁(タンク直近の弁)及び 注入口の弁・ふたは、危険物の出入時以外は閉鎖します。

  • 防油堤の水抜口は通常閉鎖

    屋外貯蔵タンク周囲の防油堤に設ける水抜口は通常閉鎖します。 堤内に滞油・滞水が生じたときは、遅滞なく排出します。

  • 屋外での塊状硫黄等は囲い+シートで飛散防止

    屋外貯蔵所では、塊状の硫黄等囲いの高さ以下で貯蔵し、 あふれ・飛散を防ぐために囲いを設け、 全体を難燃性または不燃性シートで覆い、シートを囲いに確実に固定します。

頻出ポイント/ひっかけ注意

  • 類が異なる危険物は原則同一貯蔵所でNG。ただし屋内/屋外で類別ごとに取りまとめ+1 m離隔なら同時貯蔵可。
  • 第3類黄りん(=水中保存)禁水性物品同一貯蔵所で不可(取り違え注意)。
  • 屋内で多量:同一品名の危険物は指定数量10倍以下ごとに区分し、区分間0.3 m以上離隔。
  • 容器の積み重ね上限:通常3 m/第4類〈第3・第4石油類+動植物油類〉のみ4 m/機械荷役容器のみ6 m。屋外架台6 m
  • 容器収納が原則(屋内):例外は塊状の硫黄等。屋外では囲い+難燃・不燃シートで飛散防止
  • 温度管理:屋内の容器収納危険物は55 ℃超えないよう措置。
  • タンクの管理計量口は計量時以外閉鎖元弁(タンク直近)注入口の弁/ふたも出入時以外閉鎖
  • 防油堤水抜口は通常閉鎖。堤内の滞油・滞水は遅滞なく排出

取扱いの基準

取扱い 技術上の基準
製造
  1. 蒸留工程では、設備内圧の変動等により液体・蒸気・ガスが漏れないようにします。
  2. 抽出工程では、抽出内圧が異常上昇しないようにします。
  3. 乾燥工程では、危険物の温度が局部的に上昇しない方法で加熱または乾燥します。
  4. 粉砕工程では、危険物の粉末が著しく浮遊している状態、又は粉末が機械器具等に著しく付着している状態で、当該機械器具等を取り扱わないようにします。
詰替
  1. 危険物を容器に詰め替える場合は、総務省令の定めに従って収納します。
  2. 詰替作業は、防火上安全な場所で行います。
消費
  1. 吹付塗装は、防火上有効な隔壁等で区画された安全な場所で行います。
  2. 焼入れは、危険物が危険な温度に達しないようにして行います。
  3. 染色・洗浄は、可燃性蒸気の換気を十分に確保し、廃液はみだりに放置せず安全に処置します。
  4. バーナーを使用する場合は、逆火を防止し、かつ、危険物があふれないようにします。
    ※ 逆火(ぎゃっか)は、燃焼速度と噴出速度の関係により炎がバーナー側へ戻る現象です。
廃棄
  1. 焼却する場合は、安全な場所で、かつ燃焼・爆発により他に危害・損害を及ぼさない方法で行い、見張人を付けます。
  2. 埋没する場合は、危険物の性質に応じて安全な場所で行います。
  3. 危険物を海中又は水中に流出・投下しません。

頻出ポイント/ひっかけ注意

  • 蒸留・抽出:内圧管理=「漏れない/異常上昇させない」。語尾が「〜してはならない」でも意味は同じ。
  • 乾燥・加熱:キーワードは局部過熱の防止。装置名より「局部的に上昇させない」を拾う。
  • 粉砕工程浮遊付着著しい状態では機械を扱わない(“扱う”に×)。
  • 詰替:総務省令に従って収納防火上安全な場所。場所の条件抜けを狙われがち。
  • 消費(バーナー)逆火防止あふれない措置。問題文の「あふれやすいように」は完全に×。
  • 廃棄:焼却は見張人付きで安全方法なら可/海中・水中への流出・投下は絶対不可(語尾ひっかけ注意)。

クイズ

同時に貯蔵できる危険物の組み合わせとして適切なものは次のうちどれか。

次は第1章36節:運搬の基準に進みます。

運搬の基準