予防規定とは
法令で定める製造所等の所有者等は、当該施設における 火災の発生・拡大を防ぐためのルール(予防規定)を 自ら定める義務があります。
予防規定は、施設の種類や規模、運用実態など 各現場の実情に合わせた自主保安の取り決めです。 (例:作業手順、点検・保守、異常時対応、教育・訓練の方法 など)
所有者等とその従業員は、定められた予防規定を 理解・遵守し、必要な教育を受けることが求められます。
学習メモ:
- 誰が? 製造所等の所有者等(施設の管理主体)。
- 何を? 現場の実情に即した自主保安のためのルール(予防規定)を定める。
- なぜ? 火災の予防(発生・拡大の防止)が目的。
- 誰が守る? 所有者等および従業員全員が学習・遵守する。
- 出題ポイント:「各施設の実情に合わせる」=画一ではない点がキーワード。
- 引っかけ注意:「定めれば終わり」ではなく、教育(周知)・運用まで含む。
- 用語整理:「製造所等」は製造所・貯蔵所・取扱所などの総称。
- 覚え方:「主(所有者)・守(従業員)・自(自主保安)」=主・守・自でセット記憶。
認可と変更命令
製造所等の所有者等は、予防規定を定めたときは 市区町村等の認可を受けなければなりません。 内容を変更する場合も同様に認可が必要です。
※認可:本来は当事者の行為だけでは効力が生じない場合に、 行政庁が同意して効力を完成させる行為(例:予防規定の認可)。
※許可:原則として禁止されている行為について、 特定人・特定の事件に限り禁止を解除する行為(性質が異なる)。
予防規定の対象となる製造所等で、認可を受けずに危険物を貯蔵・取扱いした者は、 6か月以下の懲役または50万円以下の罰金。
市町村長等は、火災予防上必要があるときは、 予防規定の変更を命ずることができます(変更命令)。
学習メモ:
- 提出先: 市区町村等(設置場所の所轄)に認可申請。
- いつ必要? 制定時も変更時も必須(ここが頻出ひっかけ)。
- 認可 vs 許可: 予防規定は認可。行為制限の解除は許可。
- 罰則: 認可なしで貯蔵・取り扱い → 懲役 ≤6か月 / 罰金 ≤50万円。
- 変更命令: 市町村長等が必要に応じて命じられる(行政指導ではなく命令)。
- 暗記フレーズ: 「作るも変えるも“認可”必須」・「必要なら“長”が変更命令」。
- 出題注意: 「届け出で足りる」とする選択肢は×/「許可が必要」と入れ替える引っかけに注意。
予防規定を定めなければならない製造所等
次の製造所等は、予防規定の策定が必須です(「指定数量の倍数」で判定)。
| 対象となる製造所等 | 貯蔵・取扱い量(指定数量の倍数) |
|---|---|
| 製造所 | 10以上 |
| 屋内貯蔵所 | 150以上 |
| 屋外タンク貯蔵所 | 200以上 |
| 屋外貯蔵所 | 100以上 |
| 給油取扱所 | すべて(自家用車の屋外給油取扱所を除く) |
| 移送取扱所 | すべて |
| 一般取扱所 | 10以上(ただし、下記③を除く) |
※以下に該当するものは対象外(除外)となります。
- ① 火薬類取締法による危害予防規定を定めている製造所等
- ② 鉱山保安法による保安規定を定めている製造所等
- ③ 指定数量の倍数が30以下かつ引火点40℃以上の第4類危険物のみを 容器に詰め替える一般取扱所
学習メモ:
- 覚え方(倍数): 製造所10・屋内150・屋外タンク200・屋外100・一般10。
リズムで「10・150・200・100・10」。 - “すべて”が2つ: 給油取扱所(屋外の自家用車給油所を除く)と 移送取扱所 は例外なく必須。
- 一般取扱所の落とし穴: ③の詰替限定+低危険度条件(倍数≤30&引火点≥40℃)は対象外になる。
- 除外の2法: 他法の保安規定がある場合(火薬類・鉱山)は除外(重複規制を避ける考え方)。
- 計算のコツ: 「指定数量の倍数」=
保有量 ÷ 指定数量。
例:指定数量 200L の危険物を 2万L → 倍数 = 20,000 ÷ 200 = 100倍(屋外貯蔵所なら対象)。 - 出題パターン: 「屋内は150」「屋外タンクは200」を入れ替えるひっかけ/「一般は30以上」と誤表記のひっかけに注意。
クイズ
次は第1章16節:予防規定に定める事項に進みます。