定期点検とは

法令で定める製造所等の所有者等は、当該製造所等について 定期に点検を実施し、その点検記録を作成して 保存しなければなりません。

定期点検は、製造所等の位置・構造・設備技術上の基準に適合しているかどうかを対象として行います。

定期点検の実施者

定期点検は、危険物取扱者(甲種・乙種・丙種)または 危険物施設保安員が行うのが原則です。 ただし、危険物取扱者(甲・乙・丙)の立会いがある場合は、 資格を持たない者でも点検を実施できます。

「定期点検の立会い」「危険物の取扱作業の立会い」を混同しないように注意が必要です。 危険物の取扱作業の立会いができるのは、甲種または乙種の危険物取扱者です。

地下貯蔵タンク・地下埋設配管・移動貯蔵タンク等の漏えい点検は、 点検方法に関する十分な知識・技能を有する者が行わなければなりません。 また、固定式泡消火設備の点検は、 泡の発泡機構および泡消火薬剤の性状・性能の確認に関する 知識・技能を有する者が行う必要があります。

定期点検の対象施設

定期に点検しなければならない製造所等は、次のとおりです。

定期に点検をしなければならない製造所等
対象施設 貯蔵・取り扱う危険物の数量
製造所 指定数量の倍数が10以上または地下タンクを有するもの
屋内貯蔵所 指定数量の倍数が150以上のもの
屋外タンク貯蔵所 指定数量の倍数が200以上のもの
屋外貯蔵所 指定数量の倍数が100以上のもの
地下タンク貯蔵所 すべて
移動タンク貯蔵所 すべて
給油取扱所 地下タンクを有するもの
移送取扱所 すべて
一般取扱所 指定数量の倍数が10以上または地下タンクを有するもの

学習メモ:

地下タンクは目視による点検が困難なため、すべてが定期点検の対象になります。 また、移動タンクは走行に伴い振動や負荷を受け続けるため、同様に定期点検の対象になります。

次の施設は、定期点検の対象から除外されます。

また、定期点検を行わなくてもよい製造所等は、次のとおりです。

定期点検の時期と記録の保存

定期点検は、1年に1回以上行わなければなりません。 ただし、災害その他の非常事態の発生や保安上の必要が生じた等の事由により 定期点検の実施が困難と認められる場合は、市町村長等が点検期限を別途定めることができます

定期点検のうち、タンクや配管の漏れの有無を確認する点検については、 次のとおり点検期間が別に定められています

地下貯蔵タンク・地下埋設配管の漏れ点検の期間
対象 漏れ点検の期間
地下貯蔵タンク/地下埋設配管 設置の完成検査済証(または変更の許可)の交付日、
もしくは前回の漏れの検査を行った日から、 1年を経過する日の属する月の末日までの間に1回以上実施します。
移動貯蔵タンクの漏れ点検の期間
対象 漏れ点検の期間
移動貯蔵タンク 設置の完成検査済証(または変更の許可)の交付日、
または前回の漏れの点検を行った日から、 5年を経過する日の属する月の末日までの間に1回以上実施します。

学習メモ:

定期点検のまとめ
区分 一般の点検 漏れの点検(地下貯蔵タンク・地下埋設配管・移動貯蔵タンク)
点検の実施者 ① 危険物取扱者(甲・乙・丙)
② 危険物施設保安員
③ ①の立会いがある者
① 危険物取扱者(甲・乙・丙)で【※1】
② 危険物施設保安員で【※1】
③ 危険物取扱者の立会いがある者で【※1】
実施回数 1年に1回以上 1年に1回以上(移動貯蔵タンクは5年に1回以上【※2】
記録保存 3年間 3年間(移動貯蔵タンクは10年間【※2】

【※1】漏れの点検の方法に関し、知識および技能を有する者。
【※2】移動貯蔵タンク。

内部点検

定期点検に加えて、引火性液体の危険物を貯蔵または取り扱う 屋外タンク貯蔵所岩盤タンクまたは海上タンクに係るものを除きます)で、 容量が1,000kL以上10,000kL未満のものは、 13年または15年の周期(※)を超えない日までの間に 1回以上、当該屋外貯蔵タンクの内部点検を実施しなければなりません。 ただし、当該期間内に内部点検を行うことが困難な場合で、その旨を市町村長等に届け出たときは、 2年に限り延長することができます。

(※)周期の起点は、完成検査済証の交付日直近の内部点検実施日、 または保安検査を受検した日のいずれかです。
また、15年周期となるのは、法令で定める保安措置が講じられていることに加え、 あらかじめ市町村長等へその旨を届け出ている場合です。

内部点検の記録は、26年間または30年間保存しなければなりません。

点検記録の記載事項

点検記録には、次の事項を記載しなければなりません。

クイズ

地下貯蔵タンクの漏れの点検に関する記述として、正しいものはどれですか?

次は第1章19節:保安検査に進みます。

保安検査