構造・設備
顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所(セルフ型スタンド)では、進入時に見やすい箇所に 「顧客が自ら給油等を行うことができる給油取扱所」である旨を表示します。
顧客用固定給油設備:顧客に自ら自動車等へ給油させるための固定給油設備をいいます。
顧客用固定注油設備:顧客に自ら灯油または軽油を容器へ詰替えさせるための固定注油設備をいいます。
顧客用固定給油設備の構造および設備
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 自動停止ノズル | 燃料タンクが満量になると自動停止する構造の給油ノズルであること。 |
| 安全分離ホース | 著しい引張力で安全に分離し、分離部からの漏えいを防止する構造の給油ホースであること。 |
| 誤給油防止 | ガソリン/軽油の誤給油を有効に防止できる構造であること(口径・識別・ロック機構等)。 |
| 上限設定 | 1回の連続給油量および給油時間の上限を予め設定できる構造であること。 |
| 地震時停止 | 地震時に危険物の供給を自動停止できる構造であること。 |
固定給油設備・固定注油設備・簡易タンクには、自動車等の衝突防止措置(車止め等)を講じます。
表示・運用の要点
- 顧客用設備には、自ら給油(または詰替え)ができる旨を見やすい箇所に表示。
- 設備周囲の地盤面等に自動車の停止位置・容器置き場の表示。
- ホースの直近等に使用方法と品目表示を掲示(色分け規定あり)。
- 顧客用以外の固定設備には、顧客は使用できない旨を表示。
- 顧客作業を監視・制御する制御卓(ブース)等を設け、全台を直接視認または監視設備で視認可能な位置に設置。
危険物の品目表示と色(識別)
| 品目 | 表記(例) | 色 |
|---|---|---|
| ハイオクガソリン | 「ハイオクガソリン」/「ハイオク」 | 黄 |
| レギュラーガソリン | 「レギュラーガソリン」/「レギュラー」 | 赤 |
| 軽油 | 「軽油」 | 緑 |
| 灯油 | 「灯油」 | 青 |
ハイオク
レギュラー
軽油
灯油
監視・制御設備
- 制御卓(ブース):全ての顧客用固定給油・固定注油設備の使用状況を直接視認可能な位置に設置。 ただし、監視設備で視認できる場合はその限りではない。
- 可搬式の制御機器(タブレット等)を用いる場合:供給開始/停止の制御装置、一斉停止の制御装置を備える。
顧客に自ら自動車等へ給油させるセルフ型給油取扱所には、第3種泡消火設備を設置します。
頻出ポイント/ひっかけ注意
- セルフでも容器へのガソリン詰替えは不可(従業員が実施)。容器は灯油/軽油のみ顧客可。
- 誤給油防止構造(口径・識別・キー等)が必須。色分け(赤/黄/緑/青)を取り違えない。
- 給油空地に支障物なし。注意すればOKではない(棚・表示板の置き方も×)。
- 自動停止ノズル/地震時停止はセットで覚える。
- 監視は全台。直接視認が原則、ただし監視設備で代替可。
取扱いの基準
顧客用以外の固定給油設備を使って、顧客に自ら給油させないこと。
顧客用固定給油設備は、1回の連続給油量と給油時間の上限を、想定される利用状況に応じて適正値に設定すること。
顧客用以外の固定注油設備で、顧客に容器への詰替えをさせないこと。
制御卓(コントロールブース)で、顧客の給油作業等を監視・制御し、必要な指示を行うこと。
制御卓(コントロールブース)での主な作業
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 監視 | 顧客の給油作業等を直接視認(または監視設備で視認)できるよう適切に監視する。 |
| 開始時の確認 | 作業開始前に火気の不在、その他安全上の支障がないことを確認し、制御装置でホース機器への危険物供給を開始して作業可能状態にする。 |
| 終了処理 | 作業終了時は制御装置でホース機器への供給を停止し、顧客が作業を継続できない状態にする。 |
| 非常時対応 | 非常時や安全上の支障がある場合は、すべての固定給油・固定注油設備のホース機器への危険物供給を一斉停止する。 |
| 連絡・指示 | 制御卓には通話装置を設け、場内の全顧客に必要な指示を行えるよう放送設備を設ける。 |
頻出ポイント/ひっかけ注意
- 顧客用以外は使用不可:顧客が使ってよいのは「顧客用固定給油・固定注油」だけ。
- 上限設定の義務:連続給油量と給油時間は適正な上限を設定する(“任意”ではない)。
- 開始前チェック:火気の有無・安全支障を確認してから供給開始。
- 終了後は停止:作業終了時は供給停止で再操作不可に。
- 非常時は一斉停止:個別停止だけでは×。全系統を即時停止できること。
クイズ
次は第1章32節:販売取扱所の基準に進みます。