危険物の運搬とは、トラックなどの車両で危険物を移動させることをいう。この運搬に関する技術上の基準(運搬の基準)は、指定数量未満の危険物にも適用される。
なお、危険物の運搬には届出や許可の義務はない。
危険物は、運搬の際には必ず容器に収納して運搬しなければならない。危険物の性状・危険性・数量に応じた容器の材質・構造・最大容積は、政令で定められている。
運搬容器の材質として、次のようなものが認められている。
容器は堅固で容易に破損しないこと、また口部から内容物が漏れない構造であることが必要である。
容器の構造および最大容積は、容器の区分ごとに細かく規定されている。
容器は、告示で定められた性能試験に適合している必要がある。
※ 機械荷役構造…フォークリフトやクレーンでつり上げ・持ち上げができるようにした構造のこと。
危険物は危険性の程度に応じて危険等級I・II・IIIに区分される。それぞれの危険等級ごとに、危則別表第3の2に基づいて使用できる容器(適合容器)が定められている。
例:灯油・軽油(危険等級III) → ガラス容器、プラスチック容器、金属製容器 など
第4類のうち、次のものは内装容器+外装容器の組合せを条件に、特例として運搬容器と認められる。
※ 「内装容器」は中身を入れる袋やびん、「外装容器」はそれをまとめて入れる箱のイメージ。
| 類別 | 等級 | 品名等 |
|---|---|---|
| 第1類 | I | 第1種酸化性固体 |
| II | 第2種酸化性固体 | |
| III | 第3種酸化性固体 | |
| 第2類 | II | 第1種可燃性固体(例:硫化りん、赤りん、硫黄など) |
| III | 第2種可燃性固体(II以外のもの) | |
| 第3類 | I | 第1種自然発火性・禁水性物質(例:黄りん、アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、カリウム、ナトリウムなど) |
| II | 第2種・第3種自然発火性・禁水性物質(I以外のもの) | |
| 第4類 | I | 特殊引火物 |
| II | 第1石油類、アルコール類 | |
| III | 第2〜4石油類・動植物油類 | |
| 第5類 | I | 第1種自己反応性物質 |
| II | 第2種自己反応性物質 | |
| 第6類 | I | すべて(例:過塩素酸、過酸化水素、硝酸) |
危険物を車両に積載するときは、どのような容器に・どのくらいの割合で収納するかが決められている。代表的なルールを、原則と例外に分けて整理しておく。
危険物は、原則として運搬容器に収納して積載する。むき出しのまま積むことはできない。
温度変化などによっても内容物が漏れないよう密封して収納する。
温度変化等でガスが発生して内圧が上昇するおそれがある場合は、毒性や引火性の危険がないときに限り、ガス抜き口(危険物の漏えい・他物質の浸透を防止する構造)を設けた運搬容器に収納することができる。
収納する危険物と危険な反応を起こさないなど、当該危険物の性質に適合する材質の運搬容器を使用する。
固体の危険物は、原則として運搬容器の内容積の95%以下の収納率で収納する。
液体の危険物は、運搬容器の内容積の98%以下で収納し、55℃においても漏れないよう、十分な空間容積(ウレージ)を確保する。
ひとつの外装容器には、原則として類を異にする危険物を収納してはならない。
危険物は、原則として運搬容器の外部に、次の事項を表示して積載する。
運搬容器の外側に表示すべき事項は次のとおりである。
機械により荷役する構造を有する運搬容器の外部には、上記に加えて製造年月日および製造者の名称なども表示しなければならない。
| 類別等 | 品名 | 注意事項 |
|---|---|---|
| 第1類 酸化性固体 | アルカリ金属の過酸化物/ これらの含有品 | 火気・衝撃注意禁水可燃物接触注意 |
| その他のもの | 火気・衝撃注意可燃物接触注意 | |
| 第2類 可燃性固体 | 金属粉/マグネシウム/ 鉄粉/これらの含有品 | 火気注意禁水 |
| 引火性固体 | 火気厳禁 | |
| その他のもの | 火気注意 | |
| 第3類 自然発火性物質 | すべて | 空気接触厳禁火気厳禁 |
| 第3類 禁水性物質 | すべて | 禁水 |
| 第4類 引火性液体 | すべて | 火気厳禁 |
| 第5類 自己反応性物質 | すべて | 火気厳禁衝撃注意 |
| 第6類 酸化性液体 | すべて | 可燃物接触注意 |
第1類のうち、アルカリ金属の過酸化物(過酸化カリウム・過酸化ナトリウムなど)は水と反応して酸素と熱を発生する。
危険物が転落したり、危険物を収納した運搬容器が落下・転倒・破損しないように、確実に固定して積載する。
運搬容器は、収納口を上方に向けて積載する。
次の危険物は、日光の直射を避けるため遮光性の被覆で覆わなければならない。
危険物と高圧ガスは、原則として混載してはならない。
ただし、内容積が120L未満の容器に充てんされた高圧ガスについては、この限りではない。
危険物は、同一車両で災害を発生させるおそれのある物品を混載しない。
第3類危険物の自然発火性物質は、不活性ガスを投入して密封するなど、空気と接しないようにする。
同一車両で類を異にする危険物を運搬するとき、次の組合せは混載不可である(対称・NG優先で正規化)。
※ 指定数量の1/10以下の危険物には適用しない。
| 類別 | 第1類 | 第2類 | 第3類 | 第4類 | 第5類 | 第6類 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 第1類 | — | 不可 | 不可 | 不可 | 不可 | 可 |
| 第2類 | 不可 | — | 不可 | 可 | 可 | 不可 |
| 第3類 | 不可 | 不可 | — | 可 | 不可 | 不可 |
| 第4類 | 不可 | 可 | 可 | — | 可 | 不可 |
| 第5類 | 不可 | 可 | 不可 | 可 | — | 不可 |
| 第6類 | 可 | 不可 | 不可 | 不可 | 不可 | — |
可:混載して差し支えありません。
不可:混載できません。
危険物または危険物を収納した運搬容器が、著しく摩擦または動揺を起こさないように運搬する。荷締め・滑り止め・当て木などで確実に固定する。
仕様:一辺0.3mの黒色の板に、黄色の反射塗料(又は反射材料)で「危」と表示したもの。
運搬する時に第4類の危険物と混載してはならない危険物は次のうちどれか。