構造・設備

地下貯蔵タンクは、地中に埋めて使用するため、漏えいに気付きにくく一度事故が起きると被害が大きくなりやすい設備である。

そのため、タンク自体の構造地中への設置方法について詳しい基準が定められており、どの組合せかによって使えるタンクの種類が変わる仕組みになっている。

まずは「どの設置方法で、どの種類のタンクが使えるか」を大まかなイメージとして整理しておく。

地下貯蔵タンクの種類と設置方法

地下タンクでは、次の3つの設置方法4種類のタンク(A〜D)の組合せを押さえる。

この「設置方法 × タンクの種類」の対応関係がそのまま試験の選択肢として問われることが多いので、後に出てくる表とセットで覚えておく。

出る出るポイント!

  • 鋼製一重殻タンク(A)が使えるのは、地盤面下のタンク室に設置するときだけ。
  • 二重殻タンク(B・C)は、タンク室設置に加えて地盤面下への直接埋設にも使用できる。
  • D:漏れ防止構造タンクは、コンクリートなどで被覆して漏えいを外に出さない構造とし、被覆したまま直接埋設するタイプ

地下貯蔵タンクの一覧表

地下貯蔵タンクの種類と設置方法
設置方法タンクの種類
地盤面下の
タンク室に設置
A. 二重殻タンク以外(鋼製タンク)
B. 二重殻タンク(SS・SF・FF)
地盤面下に
直接埋設
C. 二重殻タンク(SS・SF・FF)
漏れ防止構造
(被覆直接埋設)
D. 漏れ防止構造によるタンク
例:コンクリートなどでタンク全体を被覆し、そのまま地盤面下に直接埋設するタイプ。

省略記号(SS・SF・FF)の意味

  • SS:STEEL & STEEL(鋼製二重殻)
  • SF:STEEL & FRP(鋼製+強化プラスチック製二重殻)
  • FF:FRP & FRP(強化プラスチック製二重殻)

A. 地盤面下のタンク室に設置する二重殻タンク以外の地下貯蔵タンク

Aは、いわゆる鋼製一重殻タンクを、地盤面下に設けたタンク室の中に設置するタイプである。

タンク室に収めた場合でも、漏えいに早く気付き、安全を確保できるようにタンクと室内側とのすき間・タンク頂部の深さ・通気管の高さなどが法令で細かく決められている。

数値基準の早見表

Aタイプの地下タンクで特によく問われる数値を、まとめて確認する。

数値基準の早見表
項目基準
タンクと室内側の間隔0.1m以上あけ、そのすき間に乾燥砂を充填
タンク頂部の深さ地盤面から0.6m以上
タンク相互間隔原則1m以上
※ タンク容量の合計が指定数量の100倍以下の場合は、0.5m以上まで緩和される。
通気管の先端屋外に設け、地上4m以上の高さとする

出る出るポイント!

  • 設置場所:地盤面下に設けたタンク室に設置する。
  • 離隔(タンク⇄室内側):0.1m以上あけ、そのすき間に乾燥砂を充填。
  • 埋設深さ(頂部):タンク頂部が、地盤面下0.6m以上となるように埋設。

ひっかけ注意!

  • 0.1m(タンクと室内側)0.6m(頂部の深さ)数字だけ入れ替えるトラップに注意。
  • 相互間隔1m/特例0.5mは、「タンク容量の合計が指定数量の100倍以下」のときだけ緩和される。
  • 通気管の先端4mは屋内タンクでも登場する数字なので、他のタンクとセットで整理しておく。

標識・掲示

  • 標識:地下タンク貯蔵所である旨を、出入口付近などの見やすい場所に表示する。
  • 掲示板:防火上の必要事項(禁止事項・取扱い上の注意・緊急時の連絡先 など)を掲示する。

外面保護の考え方

地下貯蔵タンクの外面保護は、タンクの種類や設置方法に応じて、防食被覆の種類や厚さなどがA/B/C/Dごとに細かく規定されている。

本試験では、細かい数値そのものよりも、「一重殻タンクなどは特に外面保護が重要になる」といった考え方を押さえておくと、選択肢の見極めに役立つ。

通気・安全装置

地下タンクは、温度変化などによって内部の液体や空気が膨張・収縮し、タンク内の圧力(内圧)が変化する。そのため、内圧を適切に保つ通気管または安全装置と、漏えい時に早期発見するための漏えい検知設備を備える。

通気・安全装置
設備基準
通気管・安全装置タンクの内圧を適切に保つため、通気管または安全装置(圧力・真空弁など)のいずれかを設ける。
通気管の先端は屋外に出し、地上4m以上の高さとする。
漏えい検知タンク又はその周囲に漏えい検知設備を設け、漏えいを早期に把握できるようにする。

出る出るポイント!

  • 地下タンクには、必ず通気管または安全装置のいずれかを設ける(両方必須ではない)。
  • 通気管の先端は屋外・地上4m以上。屋内の天井付近などは誤り。
  • 漏えい検知設備は、タンクまたはその周囲に設け、漏えいを「早く気付く」ための設備である点をおさえる。

ひっかけ注意!

  • 「通気管および安全装置を設けることを要する」という両方必須の書き方は誤り。正しくは通気管または安全装置のいずれかでよい。
  • 「通気管の先端を屋内の高い位置に設ける」など、屋外・地上4mから外れる表現は×。

漏えい検知の方式(A〜D別)

漏えい検知の方法は、タンクタイプによって「検査孔」方式「自動検知装置」方式のどちらを採用するかが決まっている。

A〜Dの組合せは、表の○と—の位置関係をそのまま穴埋めにする問題が多いので、確実に押さえておく。

漏えい検知の方式(A〜D別)
タンクタイプ漏えい検査孔(4か所以上)自動検知装置(警報機能)
A:二重殻タンク以外
(タンク室設置)
必要(○)
B:二重殻タンク
(SS/SF/FF・タンク室設置)
必要(○)
C:二重殻タンク
(SS/SF/FF・直接埋設)
必要(○)
D:漏れ防止構造タンク
(被覆直接埋設)
必要(○)

出る出るポイント

  • A・D:一重殻タンク/漏れ防止構造タンクは検査孔方式(○/—)。
  • B・C:二重殻タンクは自動検知装置方式(—/○)。
  • 覚えるときは「一重殻系(A・D)=検査孔」「二重殻系(B・C)=自動検知」のセットで整理する。
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注入・計量・接地

地下タンクへの注入・計量では、数量の把握・漏えい防止・静電気火花の防止がポイントになる。ここでは、そのために必要な設備の配置とルールを整理する。

注入まわりの基準

  • 計量装置:タンク内の危険物の量を自動表示できる装置を設ける。
  • 注入口:必ず屋外に設ける。
    ホースや配管と確実に結合でき、危険物が漏えいしない構造とし、使用しないときは弁またはふたで閉じる。
  • 静電気対策:ガソリン・ベンゼン等、静電気災害のおそれがある液体では、注入口付近に接地電極を設け、静電気を大地に逃がす。
  • 配管:地下タンクの配管はタンク頂部に取り付ける。(側面や底からの配管は×)

消火設備の注意点

  • 地下タンク貯蔵所には、第5種消火設備を2個以上設置する。(1個だけでは基準を満たさない)

B. 地盤面下のタンク室に設置する二重殻タンク(SS・SF・FF)

Bは、二重殻タンク(SS/SF/FF)を地盤面下に設けたタンク室の中に設置するタイプである。Aと同じく「タンク室タイプ」だが、漏えい検知は二重殻の検知層を利用する自動検知装置方式になる点が特徴である。

  • 設置形態:地盤面下のタンク室に、二重殻タンク(SS/SF/FF)を設置する。
    数値基準(相互間隔1m/特例0.5m、通気管先端4m、頂部0.6mなど)はAタイプと同じ
  • 漏えい検知:二重殻の検知層(すき間部分)を利用する漏えい検知装置を設ける。
    漏えいを検知すると警報が鳴り、容易にリセットできないなどの要件を満たす自動検知装置方式となる。
  • 外面保護:二重殻タンクであっても、構造に応じた防食被覆などの外面保護を行い、関連する告示・運用基準に適合させる。

二重殻の区分と典型

二重殻の区分と典型
区分概要
SSSTEEL & STEEL(内側も外側もの二重殻タンク)
SFSTEEL & FRP(内側+外側FRPの二重殻タンク)
FFFRP & FRP(内側も外側もFRPの二重殻タンク)

※ SS/SF/FF は、タンク室設置(B)・直接埋設(C)のどちらの二重殻タンクでも使用される区分である。

C. 地盤面下に直接埋設する二重殻タンク(SS・SF・FF)

Cは、二重殻タンク(SS/SF/FF)を地盤面下に直接埋設するタイプである。Bのようなタンク室は設けず、その代わりに二重殻+漏えい検知装置の組合せで安全性を確保する。

  • 設置形態:二重殻タンク(SS/SF/FF)を直接埋設する。(タンク室は設けない)
  • 漏えい検知:二重殻の検知層(すき間部分)に対する漏えい検知装置で常時監視・警報を行う。
    複数基を同じ装置で監視する場合は、どのタンクで漏えいが起きたか特定できることが必要。
  • 外面保護:二重殻の構造・被覆仕様に応じて外面保護を行う。
    検知に用いる液体などで外殻の樹脂が侵されないことなどの要件を満たす。

※ 相互間隔・通気管の高さ・標識・掲示などの共通の数値基準は、A・Bタイプと同様に整理する。

製造所等の定期点検に関する指導指針の整備について

地下タンク貯蔵所では、定期点検により漏えい・腐食・損傷などを早期に発見することが求められる。

点検指針では、どの部分を・どのような方法で確認するかが項目ごとに示されている。ここでは、代表的な点検項目をまとめておく。

製造所等の定期点検に関する指導指針の整備について
点検項目点検内容点検方法
上部スラブ亀裂・崩没・不等沈下の有無目視
タンク本体漏えいの有無ガス又は液体等で加圧し、漏えいの有無を確認
通気管腐食・損傷・目詰まりの有無目視
各計測装置損傷の有無・作動状況・計量口のふたの状態目視
漏えい
検査孔
変形・損傷・土砂等の堆積の有無検査棒等により確認し、併せて漏えいの有無も確認
注入口変形・損傷の有無目視
注入口
ピット
亀裂・損傷・滞水・土砂等の堆積の有無目視
標識/掲示板取付状況・記載事項の適否、損傷・汚損の有無目視
消火器位置・設置数、外観的機能の適否目視

出る出るポイント!

  • タンク本体:ガス又は液体等で加圧して漏えい確認する点がポイント。
  • 漏えい検査孔:検査棒等で確認+漏えいの有無も併せて確認する。
  • それ以外の項目(上部スラブ・通気管・注入口など)は基本は目視で点検する。

※ その他、配管、バルブ等、ポンプ設備、電気設備、警報装置についても点検項目が定められている(本ページでは割愛)。

クイズ

地下貯蔵タンクの頂部の埋設深さについて正しいのはどれか。

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