概要
粉じん爆発は、可燃性の固体微粒子が空気中に浮遊しているとき(粉じん雲)に、急速な燃焼が起こって発熱・体積膨張・圧力上昇を生じ、火炎と爆発音を伴って周囲に大きな被害を与える現象である。
| 粉じん爆発が起こるための3要素 |
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| ① 微粉化した粉じんが一定濃度で空気中に浮遊(粉じん雲)していること |
| ② 発火源(例:火花・高温面・静電気放電 など) |
| ③ 空気中の酸素 |
粉じん濃度に爆発範囲(燃焼範囲)があり、爆発可能な濃度の下限を爆発下限界、上限を爆発上限界という。
最小着火エネルギーは一般に粉じん > 可燃性ガスで、粉じんは着火しにくい特性をもつ。
一方で、粉じん爆発は一次爆発で舞い上がった粉じんが再着火して二次・三次爆発へ連鎖しやすく、結果として被害規模が大きくなりやすい。
可燃性粉じんと空気の混合気は、固体粒子を含むため、可燃性ガスと空気の混合気に比べ見かけの比重が大きくなりやすい。
粉じん雲では、粒子間隔が近すぎると酸素不足で燃焼が進まず、離れすぎると火炎が伝播しない。適度な分散が爆発成立の条件となる。
有機粉じんでは粒径が比較的大きく、不完全燃焼を起こしやすい。このため一酸化炭素(CO)が多量に発生し、CO中毒の危険が高い。
粉じんの粒子径が大きいほど空気中に浮遊しにくく、爆発の危険性は相対的に小さくなる。さらに開放空間では粉じんが拡散しやすく、爆発は起こりにくい。
| 粉じん爆発が起こりやすい条件 |
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| ① 粒子が細かい(比表面積が大きく、反応が速い/空気中に浮遊しやすい) |
| ② 粉じんと空気が均一に混合している(よく撹拌・乱流で分散している) |
| ③ 空間中の粉じん濃度が爆発範囲内にある(濃すぎても薄すぎても起こらない) |
※ 静電気は通常、粒子や物体の表面に帯電する。塊を微粉化すると表面積が増えるため、 粉体は単位質量あたりの帯電量が増えやすく、放電が発火源となる危険が高まる。
クイズ
次は第2章8節:消化と消化剤に進みます。