抵抗率 ρ(ロー)
抵抗の基本関係:
導体の抵抗 R は「長さ l に比例」「断面積 S に反比例」。 物質ごとの固有値 ρ(抵抗率) を用いると、次式で表されます。
覚えよう!
- ρ は物質固有値(材質で決まる)。
- 定義:断面積 1 m²、長さ 1 mの導体の両端の抵抗。
- 長さ ℓ と断面積 S の影響は逆方向(ℓ↑→R↑、S↑→R↓)。
- 単位は Ω・m(オーム・メートル)。
出る出るポイント
-
比例・反比例は式で固定:
R = ρ · ℓ / S
同じ材質なら ρ は一定として扱う。 - 断面積Sの落とし穴:直径が2倍 → 断面積は4倍 → Rは1/4。半径・直径の2乗を忘れない。
- 単位換算で落とす:mm² → m²(
1 mm² = 1×10⁻⁶ m²)。Sの換算ミスは即死。 - ρが小さいほど通しやすい(導体寄り)、ρが大きいほど通しにくい(絶縁体寄り)。次の「導電率σ」とセットで来る。
- 定義の言い換え:「1mの長さ」「1m²の断面積」の導体の抵抗=抵抗率ρ。文章問題でそのまま出る。
導電率 σ(シグマ)
導電率(電気伝導率)は、物質の電気の流れやすさを表す量です。 値が大きいほど電気を通しやすく、抵抗は小さくなります。
導電率は抵抗率(流れにくさ)ρの逆数で、 σ = 1 / ρ。単位は S/m(ジーメンス毎メートル)。
形状に依存する実際の通しやすさ(コンダクタンス)は G = σ·A/L(A:断面積、L:長さ)。抵抗は R = ρ·L/A。 つまり 「材質(σ)×形状」で決まります。
液体(電解質)では塩分や酸の濃さの指標として用います。 例:食塩水は濃いほど σ↑(※通常は 25℃ への温度換算で管理)。
σ = 1/ρ
覚えよう!
- 定義:導電率は通しやすさ、抵抗率は通しにくさ。
- 関係式:σ = 1/ρ
- 単位:σ:S/m、ρ:Ω·m
- 形状とセット:R = ρ·L/A、G = σ·A/L
出る出るポイント
- 逆数トラップ:ρ↑ならσ↓。大小関係を逆に書かせる。
- 単位トラップ:Gの単位はS、σはS/m(ここ混ぜて落とす)。
- 換算で落とす:1 mS/cm = 0.1 S/m(mS/cm ⇄ S/m)。
- 温度依存:金属はT↑でσ↓、電解質溶液はT↑でσ↑(これも逆にしがち)。
- 純水の扱い:純水はσが小さい。塩分が混ざるとσ↑(“純水も通す”は×)。
オームの法則
オームの法則は、抵抗 R の両端の電圧 V と電流 I の関係を表します。
基本式は V = I・R です。
したがって、同じ抵抗では V を上げると I は増え、同じ電圧では R を大きくすると I は小さくなります。 ここでの単位は V:ボルト [V]、I:アンペア [A]、R:オーム [Ω] を用います。
オームの法則は、直流(DC)や低周波で、V–I の関係が直線になる 「オーム性(線形)抵抗」に適用します(温度変化が大きい場合は注意)。
V = I・R
I = V/R
R = V/I
V = I・R)。
覚えよう!
- 基本式:
V = I・R(3 量の関係はこれで固定)。 - 変形式:
I = V/R、R = V/I(出題はこの形が多い)。 - 単位セット:V [V]、I [A]、R [Ω](まず単位を揃える)。
- 適用:オーム性(線形)抵抗が前提(電球・半導体・整流器などは注意)。
出る出るポイント!
- 接頭語トラップ:mA=10−3A、kΩ=103Ω、MΩ=106Ω。ここで落ちる。
- 直列・並列の順番:まず合成抵抗(直列:足す/並列:逆数和)→ その後に
V = I・R。 - 電力の近道:
P = V・I = I²R = V²/R(単位は W)。 - 温度でズレる:金属抵抗は温度↑で R↑(一定とみなせる条件か確認)。
- 測定のひっかけ:リード線抵抗・内部抵抗が乗る(小さい R を測るほど効く)。
直列と並列の合成抵抗
抵抗のつなぎ方には直列と並列があります。直列は同じ電流が順番に流れます。 並列は同じ電圧が各枝にかかります。合成(等価)抵抗は次の式で求めます。
直列の定義
- 電流 どこでも同じ(電流一定)
- 電圧 抵抗に比例して分担(電圧分割)
- 合成 足し算
Req = R1 + R2 + R3 + …
並列の定義
- 電圧 どこでも同じ(電圧一定)
- 電流 抵抗に反比例して分流(電流分割)
- 合成 逆数の和
1/Req = 1/R1 + 1/R2 + 1/R3 + …
電池の仕組み
電池は、酸化還元反応の化学エネルギーを電気エネルギーに変換する装置です。 金属などの電極を電解液に浸し、外部回路を導線でつなぐと電流が流れます。
負極(アノード)では酸化が起こり、電子を放出します(電子は外部回路へ流れ出ます)。 正極(カソード)では還元が起こり、外部回路から来た電子を受け取ります。
※電池(ガルバニ電池)では「負=アノード」「正=カソード」です。 電気分解では極性が逆なので区別して覚えましょう。
溶液中では電荷のつり合いを保つためにイオンが移動します(電解液・塩橋・セパレータの役割)。 電子の流れは負極→正極、電流(約束方向)は正極→負極です。
代表例(ダニエル電池の型)
- 負極:Zn → Zn2+ + 2e−(酸化)
- 正極:Cu2+ + 2e− → Cu(還元)
起電力 E は両極の電位差で決まり、溶液中のイオン濃度(濃度条件)が変わると電位が変化し、 起電力も変わります(測定では温度・濃度条件をそろえます)。
覚えよう!
- 対応:電池(発電)は「負=アノード(酸化)」「正=カソード(還元)」
- 向き:電子は 負極→正極/電流(約束方向)は 正極→負極
- 語呂:「酸化はマイ(−)、還元はプラ(+)」で混乱を防ぐ
出る出るポイント!
- 端子電圧:
V = E − I r(r:内部抵抗)→ I が大きいほど V は下がる - 直列:電圧が加算(例:1.5V×2本→3.0V)
- 並列:電圧は同じで、電流供給力が増える(内部抵抗は並列で小さくなる)
- 濃度の影響:起電力 E は電位差で決まり、濃度が変わると E も変わり得る
ひっかけ注意!
- 正負の混同:電池(発電)は「負=アノード/正=カソード」。電気分解は“正負が逆”になりやすい
- でもここは不変:アノード=酸化、カソード=還元(ここだけは電池でも電気分解でも共通)
- 流れの混同:電子の向き(負→正)と、電流の向き(正→負)を逆に書くミスが多い
- 安全:漏液・ガスは腐食性/可燃性のリスク。作業は換気+保護具
起電力の大きさ
起電力(E)は、電池の2電極間に生じる理想的な電位差です (外部に電流を流さないときの電圧)。
起電力は基本的に、正極と負極の電極電位差で決まります (目安:E = 正極 − 負極)。 つまり、組合せが違えば E も変わる、が最重要です。
覚えよう!
- 正極=還元、負極=酸化。
- 電子は 負極 → 正極、電流(約束)は 正極 → 負極。
- 実際に電流が流れると、端子電圧は V = E − I r(r:内部抵抗)でEより小さくなる。
出る出るポイント!
- 直列・並列: 直列はEが加算(内部抵抗rも加算)。 並列はEは同じで、内部抵抗rが下がり電流供給力が増える。
- 負極の見分け: 金属のイオン化傾向が大きい方が負極(溶けやすい)になりやすい。
- 代表値: ダニエル電池の起電力はおよそ1.10 V(用語・基準値レベルで押さえる)。
ひっかけ注意!
- 端子電圧=起電力と決めつけない。 負荷をつないだ瞬間、V = E − I rで下がる。
- 濃度が高いほど必ずEが大きいとは限らない。 まずは極の組合せ(電位差)で考える。 迷ったら「負極=イオン化傾向が大きい金属」で整理。
- 電子の流れと電流(約束)を逆に書いて落とす。 外部回路は「電子:負→正」「電流:正→負」。
- 直列・並列の取り違えに注意。 直列はEもrも足し算、並列はEは同じでrが小さくなる。
主な電池の起電力と素材
一次電池
| 電池の 種類 |
起電力 | 正極 | 負極 | 電解液/電解質 |
|---|---|---|---|---|
| マンガン乾電池 | 1.5V | 二酸化マンガン | 亜鉛 | 塩化亜鉛/塩化アンモニウム |
| アルカリ マンガン乾電池 |
約1.5V | 二酸化マンガン | 亜鉛 | 水酸化カリウム |
| リチウム電池 | 約3.0V | 二酸化マンガン 硫化鉄など |
リチウム | 非水系 有機電解液 |
| 酸化銀 電池 |
約1.55V | 酸化銀 | 亜鉛 | 水酸化カリウム 水酸化ナトリウム |
| 空気亜鉛電池 | 約1.3V | 酸素 | 亜鉛 | 水酸化ナトリウム |
※一次電池:放電のみの使い切り
二次電池
| 電池の 種類 |
起電力 | 正極 | 負極 | 電解液/電解質 |
|---|---|---|---|---|
| 鉛蓄電池 | 約2.0V | 二酸化鉛 | 鉛 | 希硫酸 |
| ニッケル カドミウム電池 |
約1.3V | ニッケル酸化物 | カドミウム | 水酸化カリウム |
| ニッケル 水素電池 |
約1.35V | ニッケル酸化物 | 水素吸蔵 合金 |
水酸化カリウム |
| リチウム イオン電池 |
約4.0V | リチウム複合 酸化物 |
炭素 | 非水系 有機電解液 |
| ナトリウム 硫黄電池 |
約2.1V | 硫黄 | ナトリウム | β・アルミナ |
※二次電池:外部電池からの充電で繰り返し使用。
出る出るポイント!
- 一次=充電不可/二次=充電して再使用(まずここを取り切る)。
- 電解液(電解質)はセット暗記:マンガン=塩化アンモニウム/塩化亜鉛、アルカリ=水酸化カリウム、鉛=希硫酸…のように「種類→電解液」で即答。
- 起電力の代表値:1.5V系/約1.55V(酸化銀)/約1.3V(空気亜鉛)/約3.0V(リチウム一次)/約2.0V(鉛蓄)など、よく混ぜて出る。
ひっかけ注意!
- アルカリ=水酸化カリウム、マンガン乾電池=塩化アンモニウム/塩化亜鉛。入れ替えひっかけ注意。
- 酸化銀電池=約1.55V、空気亜鉛=約1.3V(1.5Vと混同させる出題あり)。
- 二次電池:鉛=希硫酸、Ni系=KOH、Li-ion=非水系。電解液セットで覚える。
クイズ
次は第2章10節:静電気に進みます。