燃焼範囲とは
燃焼範囲は、空気中で可燃性蒸気が着火・燃焼可能な濃度の下限値~上限値を示します。この範囲は、蒸気と空気の混合気中における可燃性蒸気の体積%(vol%)で表されます。また、「爆発」を対象とする場合には、同様の定義を爆発範囲と呼びます。
「vol%」は、混合気中の可燃性蒸気の容量(体積)百分率を意味します。ここでのvolは英語のvolume(体積)の略語です。
燃焼限界は、可燃性蒸気が燃焼を維持できる最小濃度と最大濃度の境界値を指します。蒸気濃度が高い側を上限界(上限値)、低い側を下限界(下限値)と呼びます。燃焼範囲が広く、特に下限界が低いほど少量の蒸気で引火しやすく、危険度が高まります。また、燃焼範囲の下限界に相当する蒸気濃度を発生させる液温のことを引火点といいます。
燃焼範囲(爆発範囲)と引火点の例
可燃性蒸気の燃焼範囲は物質ごとに異なり、同じ物質でも試験条件(点火源の種類、容器の形状、温度、圧力など)によって変化します。一般に、温度や圧力が上昇するほど燃焼/爆発範囲は広がり、特に濃度の上限界が大きく拡大します。
たとえばガソリンの爆発範囲は1.4~7.6 vol%です。したがってガソリンエンジンでは、混合気中のガソリン蒸気濃度が 1.4~7.6 vol%の範囲内で燃焼(爆発)が起こり、それより薄い(下限未満)または濃い(上限超)の場合には燃焼(爆発)が発生しません。
例:空気100 L中に含まれるガソリン量を変化させたときの蒸気濃度の計算結果を示しています。
クイズ
ガソリンの引火点で正しいものはどれか?
次は自然発火に進みます。