熱の伝わる方向には、伝導・対流・放射(ふく射)の3つがあります。
熱が物体の高温部から低温部へ、物体中を伝わって移動する現象を「伝導」といいます。
物体には、熱が伝わりやすいものと伝わりにくいものがあります。熱伝導率は、この熱の伝わりやすさを表す数値で、数値が大きいものほど熱を伝えやすくなります。
固体・液体・気体について熱伝導率を比較すると、固体が最も大きく、気体が最も小さくなります。固体は熱を伝えやすく、気体は熱を伝えにくい性質をもちます。銀は、すべての金属中、熱伝導率が最も大きい物質です。
熱が液体または気体を介して移動する現象を「対流」といいます。したがって、固体の場合は対流が起こりません。
対流の例として、①ストーブによる暖房では天井近くが暖かくなること、②水を沸かすと表面から暖かくなること、などが挙げられます。
熱せられた物体が熱(放射熱)を放射する現象を「放射(ふく射)」といいます。
放射熱は真空中でも伝わり、直進します。また、物体にあたると吸収されたり、反射したりします。太陽の光にあたると暖かいのは、この放射熱によるものです。
屋外タンク貯蔵所などに定められている「保安距離」は、火災時の放射熱(輻射熱)による周囲への延焼を防ぐために確保されている距離です。放射熱は空気中の物質を介さず直進して伝わるため、離れたタンクであっても火災の熱を受けて危険な状態になり得ます。伝導・対流・放射のうち、法令の保安距離規定と直接結びつくのは放射熱である、という点は関連づけて覚えておく価値があります。
危険物施設の「保安距離」は、主にどの伝熱形態による延焼を防ぐために定められているか。