反応速度は、化学反応が進む速度です。速度は反応物質または生成物質について、濃度の時間的変化率により表すことが多いです。
化学反応が起きるためには、反応する物質の粒子が互いに衝突することが必要です。したがって、粒子の衝突頻度が高くなるほど、反応速度は速くなります。
反応速度を左右する要因として、次のものが挙げられます。
触媒は、反応の前後でそれ自身は変化せず、反応速度を速める物質をいいます。単に触媒といった場合、反応速度を速める正触媒を指しますが、反応速度を抑える負触媒もあります。
触媒を用いると、触媒と反応物が結びつき、活性化エネルギーの小さな別の反応経路で反応が進むため、反応速度が大きく速くなります。
触媒は化学反応式に記入されることはありません。また、触媒の有無で熱化学方程式における反応熱が変化することもありません。触媒によって、平衡の移動は起こりません。
ハロゲン化物消火剤は、燃焼の化学反応を抑制する負触媒(抑制)効果をもつ消火剤です。窒息効果とあわせて、油火災(B火災)・電気火災(C火災)に適応できます。
触媒は、反応物に対する作用の仕方の違いによって分類されます。
過酸化水素H2O2の分解反応の際に加える鉄(Ⅲ)イオンFe3+のように、反応物と均一に混じり合って働く触媒を「均一触媒(均一系触媒)」といいます。生物の体内ではたらく酵素などは、代表的な均一触媒です。
過酸化水素H2O2の分解反応の際に加える酸化マンガン(Ⅳ)MnO2のように、反応物とは混じり合わずにはたらく触媒を「不均一触媒(不均一系触媒)」といいます。白金Ptや鉄Feなどの固体触媒は、代表的な不均一触媒です。
化学反応において、左辺から右辺に進む反応を正反応、逆に右辺から左辺に進む反応を逆反応といいます。
正反応と逆反応が同時に進行する反応を可逆反応といい、左辺と右辺を⇄記号で結びます。また、正反応のみが起こり逆反応が起こらない、一方のみ進行する反応を不可逆反応といいます。
化学平衡とは、可逆反応において正反応と逆反応の速さが等しく、見かけ上の変化がない状態をいいます。ただし、内部では正反応と逆反応が同時に進行しています。
ルシャトリエの法則とは、可逆反応が平衡にあるときに濃度・温度・圧力等が変化すると、その変化を打ち消す(和らげる)方向に平衡が移動するという法則です。平衡移動の法則ともいいます。
窒素と水素からアンモニアが生成する反応(N2+3H2⇄2NH3+熱量)を例に、3つのパターンで平衡の移動を見てみましょう。
濃度を変化させた場合:N2やH2の濃度を上げると、増えた物質を減らす方向、つまり右辺(NH3が増える方向)に平衡が移動します。逆にNH3の濃度を上げると、左辺方向に移動します。
圧力を変化させた場合:この反応は、気体の総molが左辺4mol(1+3)、右辺2molと、左辺の方が多くなっています。圧力を上げると、気体の総mol数が減る方向、つまり右辺方向に平衡が移動します。逆に圧力を下げると、左辺方向に移動します。
温度を変化させた場合:この反応は発熱反応(右辺に熱量がつく反応)です。温度を上げると、熱を吸収する方向、つまり左辺方向に平衡が移動します。逆に温度を下げると、右辺方向に移動します。
| 条件 | 平衡が移動する方向 | 例(N2+3H2=2NH3+92.2kJ) |
|---|---|---|
| 濃度 (反応物の濃度が高まる) | 正反応(右辺)の方向に移動 | N2やH2を加える→右辺方向に移動 |
| 濃度 (生成物の濃度が高まる) | 逆反応(左辺)の方向に移動 | NH3を加える→左辺方向に移動 |
| 圧力(気体) (加圧する) | 分子数の減少する方向に移動 | 加圧する→右辺方向に移動 |
| 圧力(気体) (減圧する) | 分子数の増加する方向に移動 | 減圧する→左辺方向に移動 |
| 温度 (温度が上昇する) | 吸熱反応の方向に移動 | 温度が上昇する→左辺方向に移動 |
| 温度 (温度が低下する) | 発熱反応の方向に移動 | 温度が低下する→右辺方向に移動 |
N2+3H2⇄2NH3+92.2kJが平衡状態にあるとき、圧力を上げると、平衡はどちらの方向に移動するか。