固体または液体の比重は、水を基準としたとき、その物質の密度と水の密度との比をいいます。水の密度はおよそ1g/cm3ですが、気圧と温度によって多少変化します。
そこで、比重の算出にあたっては、1気圧・4℃の水を標準としています。また、このときの水の密度が最大となります。
比重が1より大きい物質は水に入れると沈み、1よりも小さい物質は水に入れると浮きます。比重1.3の二硫化炭素(CS2)は水に沈み、比重約0.7のガソリンは水に浮きます。また、比重が同じであれば、同一の体積をもつ物質の質量は等しくなります。
第4類危険物の多くは比重1未満で水に浮きますが、二硫化炭素・クロロベンゼン・酢酸・アクリル酸・クレオソート油・アニリン・ニトロベンゼン・グリセリン・エチレングリコール・リン酸トリクレジルは例外的に比重が1を超え、水より重い物質です。特に二硫化炭素は可燃性蒸気の発生を防ぐため、水中に沈めて貯蔵します。
密度は、物質1cm3あたりの質量をg/cm3などの単位で表した実測値です。一方、比重は物質の密度と水の密度(1気圧・4℃で1g/cm3)との比であり、単位をもたない数値(無次元数)です。数値そのものは近い値になりますが、単位の有無という点で両者は異なります。
水の密度は1気圧・4℃で1g/cm3(1kg/L)であるため、液体の質量(kg)は、体積(L)に比重を掛けることで求められます。たとえば、比重0.75のガソリン20Lの質量は、20×0.75=15kgです。この関係を使うと、比重を使った質量・体積の計算問題を素早く処理できます。
比重が水を基準としているのに対し、蒸気比重は空気を基準としたとき、その物質の気体の密度または蒸気の密度との比をいいます。この際、空気は1気圧・0℃を標準としています。
蒸気比重が1よりも大きい蒸気(気体)は、空気中に放出すると低所に移動し、1よりも小さい蒸気(気体)は高所に移動します。蒸気比重3〜4のガソリン蒸気や蒸気比重4.5の灯油蒸気は、低所に滞留するため相応の配慮が必要となります。
蒸気比重は、蒸気または気体の分子量から算出することができます。空気は気体の混合物で、実際の組成は窒素(N2)約78%、酸素(O2)約21%です。計算を簡単にするため、これを窒素約8割・酸素約2割とみなします。
窒素(N2:分子量14×2=28)約8割、酸素(O2:分子量16×2=32)約2割の構成とみなすと、空気の分子量は次のように求められます。
28×0.8+32×0.2≒29
たとえば、一酸化炭素(CO)は分子量12+16=28で、蒸気比重は28/29≒1となることから、火災が発生している建物内では満遍なく充満します。
また、天然ガス燃料の主成分であるメタン(CH4)は分子量が12+4=16となり、蒸気比重は16/29≒0.55となります。1より大幅に小さいため、大気中に放出されてもすぐに上方に拡散し、危険性は低くなります。
第4類危険物から発生する蒸気の比重は、すべて1より大きく、空気より重い性質をもちます。そのため蒸気は低所に滞留したり、地表付近を伝って遠方まで流れやすく、離れた場所の火源による引火にも注意が必要です。
代表的な第4類危険物の比重・蒸気比重は、次のとおりです。
| 物質 | 比重(液比重) | 蒸気比重 |
|---|---|---|
| ガソリン | 0.65〜0.75 | 3〜4 |
| 灯油 | 0.78〜0.85 | 4.5 |
| 軽油 | 0.83〜0.88 | 4.5 |
| 重油 | 0.90〜0.99 | 5以上 |
| エタノール | 約0.8 | 約1.6 |
| メタノール | 約0.8 | 約1.1 |
| 二硫化炭素 | 約1.3 | 約2.6 |
ベンゼン(C6H6、分子量78)の蒸気比重に最も近い値はどれか。空気の平均分子量を29とする。