動植物油類
動植物油類とは、動物の脂肪・油脂、または植物の種子・果肉などから得られた油脂で、1気圧において引火点が250℃未満のものをいう(第4類)。
| 動植物油類の特徴 |
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| ① 非水溶性。液比重は概ね0.9前後で水より軽いものが多い(例外あり)。 |
| ② 布・ウエスに染み込むと酸化が進み発熱し、条件がそろうと自然発火の危険がある(特に乾性油)。 |
| ③ 霧状にしたもの・布に吸着したものは空気との接触面積が増え、引火しやすくなる。 |
| ④ 常温では蒸発しにくく相対的に引火しにくいが、いったん燃えると油温が非常に高温となり消火が困難。 |
| ⑤ 多くは不飽和脂肪酸を含み、酸化・重合を受けやすい(乾性油・半乾性油・不乾性油の性質差)。 |
試験ポイント!:油を含んだボロ布は自己発熱→自然発火に注意。密閉金属容器で保管・速やかに処理する。消火は泡・粉末・CO₂が有効。棒状注水は禁物(飛散・沸騰)。
動植物から得られる油脂の分子量や不飽和度は原料により異なる。一般に、油脂の融点は炭素数が多いほど高く、同じ炭素数なら二重結合が多いほど融点は低下する。
マーガリンの主原料は植物油(大豆油・コーン油・べに花油など)。不飽和脂肪酸の多い油に水素添加を行い、融点を上げた硬化油として製造される。
指定数量メモ:動植物油類の指定数量は10,000 L(覚え方:第4石油類6,000Lより多い)。
自然発火
油脂は空気中でゆっくり酸化し、その際に生じる酸化熱が逃げずに蓄積すると、ついには発火点に達して自然発火が起こる。
酸化は主に油脂中の不飽和結合(C=C)に酸素が付加して進行する。油脂のヨウ素価(油脂100gが吸収するヨウ素のグラム数)が大きいほど不飽和度が高く、酸化しやすい=自然発火リスクが高い。
| 乾性油(ヨウ素価130以上)…空気中で固化(乾燥)しやすい |
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| アマニ油、キリ油、べに花油、ひまわり油、くるみ油、けし油 など |
| 半乾性油(ヨウ素価100〜130)…酸化で粘ちょう化し流動性が低下 |
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| なたね油、ごま油、綿実油、コーン油、大豆油 など |
| 不乾性油(ヨウ素価100以下)…空気中で固まらない |
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| やし油、オリーブ油、ひまし油、つばき油 など |
乾性油は特に酸化・重合で樹脂状に固化しやすく、油を含んだ布・ウエスを積み重ねて放置すると自己発熱→自然発火の危険が高い。
油を含んだ布・紙などを通風不良・高温の場所に放置しない。使用後は水に浸すか密閉できる金属容器に回収し、早期に廃棄・洗浄する。
試験ポイント!:「ヨウ素価↑ → 不飽和度↑ → 酸化しやすい → 自然発火リスク↑」。乾性油の含浸ウエスは最要注意。
消火の原則:泡・粉末・CO₂が有効。棒状注水は飛散・沸騰を招くため厳禁。冷却は必要最小限の霧状水で周辺に限る。
クイズ
次は第3章13節:乙種第4類の主な危険物(テーブル)に進みます。