共通する性状
第4類危険物は、20°C・1気圧において液体であり、いずれも引火性を有しています。液体であるため流動性が高く、ひとたび火災が発生すると、燃焼拡大のおそれがあります。液比重は1未満のものが多く、水より軽い傾向にあります。
燃焼範囲の上限はおおむね60vol%以下、発火点は多くが650°C未満です。たとえば、アセトアルデヒドの燃焼範囲は4.0〜60vol%、アニソンの発火点は615°Cです。
品名 | 物品名 | 液比重 |
---|---|---|
特殊引火物 | 二硫化炭素 | 1.3 |
第2石油類 | クロロベンゼン | 1.1 |
酢酸 | 1.05 | |
アクリル酸 | 1.05 | |
第3石油類 | ニトロベンゼン | 1.2 |
グリセリン | 1.3 | |
アニリン | 1.01 | |
第4石油類 | リン酸トリクレジル | 1.17 |
非水溶性と水溶性
第4類危険物の多くは非水溶性(水に溶けない)ですが、なかには水溶性のものも存在します。非水溶性の危険物は、流動やかくはんなどの動きによって静電気が発生しやすく、さらに電気の不導体であるため、静電気が蓄積されやすいという性質があります。その結果、静電気による火花が引火源となるおそれがあります。代表例として、二硫化炭素、トルエン、軽油などが挙げられます。
品名 | 物品名 |
---|---|
特殊引火物 | アセトアルデヒド |
酸化プロピレン | |
第1石油類 | アセトン |
ピリジン | |
アルコール類 | ※すべて |
第2石油類 | 酢酸 |
アクリル酸 | |
プロピオン酸 | |
第3石油類 | エチレングリコール |
グリセリン |
※ アルコール類はすべて水に溶け、水溶性です(例外なし)。
蒸気
多くの第4類危険物は、蒸気が空気とわずかに混合した状態でも引火する危険性があります。ただし、蒸気の濃度が燃焼範囲から外れている場合は、点火しても引火には至りません。燃焼範囲が広い物質ほど、引火や爆発のリスクが高くなります。また、液体の温度が上がるにつれて、可燃性蒸気の発生量も増加します。
蒸気比重はすべて1より大きく、空気よりも重いため、蒸気は低い場所に滞留したり、地表付近を伝って遠方へ流れやすい性質があります。また、特有の臭気をもつものが多いのも特徴です。
可燃性蒸気は、沸点が低い物質ほど発生しやすく、そのぶん引火の危険性も高まります。
発火点
多くの第4類危険物は、発火点が100°C以上です。物質が発火点に達すると、火源がなくても自ら発火して燃焼を始めます。ただし、例外もあり、二硫化炭素の発火点は90°Cと比較的低く、注意が必要です。
引火点
第4類危険物の中には、20°Cで引火するものと、引火しないものがあります。中でも引火点が特に低い物質として、ガソリン(-40°C以下)、ジエチルエーテル(-45°C)、二硫化炭素(-30°C以下)などが挙げられます。
引火点が低い物質は、それだけ引火の危険性が高く、また発揮性(揮発しやすさ)も高いため、蒸気が発生しやすいという特徴があります。一方で、水に溶ける物質(水溶性)は、注水によって濃度を下げることで蒸気圧が低下し、結果として引火点が高くなります。
蒸気には燃焼範囲があり、これを満たすために必要な液温が低いほど、引火の危険性は大きくなります。
一般に、蒸気比重が小さい物質は、引火点が低いものが多く、沸点が低い物質も同様に引火点が低くなります。一方、分子量が大きい物質では、引火点が高くなる傾向があります。
クイズ
次のうち、第2石油類で比重が1より大きいものに該当しないのはどれか?
次は第4類危険物の消火に進みます。