構造
危険物を取り扱う建築物は、地階を有しない必要があります。
危険物を取り扱う建築物は、壁・柱・床・はり・階段を不燃材料で造るとともに、 延焼のおそれがある外壁は、出入口以外の開口部を設けない耐火構造の壁とします。
危険物を取り扱う建築物の屋根は不燃材料で造り、 さらに金属板などの軽量な不燃材料で被覆します。
危険物を取り扱う建築物の窓および出入口には防火設備を設けます。 また、延焼のおそれがある外壁に設ける出入口には、 随時開放できる自動閉鎖式の特定防火設備を設けます。
窓または出入口にガラスを用いる場合は、網入りガラスとします。
液状の危険物を取り扱う建築物の床は、危険物が浸透しない構造とするとともに、 適当な傾斜を付け、漏れた危険物を一時的に貯留する設備(貯留設備)を設けます。
設備
危険物を取り扱う建築物には、取り扱いに必要な 採光・照明・換気設備 を設けます。あわせて、可燃性の蒸気または可燃性の微粉が滞留するおそれがある場合は、 それらを屋外の高所に排出する設備を設けます。
屋外に設けた液状の危険物の取り扱い設備については、その直下の地盤面の周囲に 高さ0.15 m以上の囲いを設け、危険物の流出を防止する措置(※)を講じます。 さらに、当該地盤面はコンクリート等の不浸透材料で覆い、 適当な傾斜および貯留設備を設けます。 この場合、第4類の危険物(非水溶性に限ります)を取り扱う設備では、 当該危険物が直接雨水溝に流入しないよう、 貯留設備に油分離装置を設けます。
(※)危険物の流出防止について、これと同等以上の効果があると省令で定める措置を講じます。
危険物を取り扱う機械器具その他の設備は、危険物の漏れ・あふれ・飛散を防止できる構造とします。
危険物を加熱または乾燥する設備は、原則として直火を用いない構造とします。
危険物を加熱する設備、または取り扱う危険物の圧力が上昇するおそれのある設備には、 圧力計および安全装置を設けます。
電気設備が点火源となり爆発するおそれのある場所(粉じん・可燃性ガス・危険物等)に設置する電気設備は、 防爆構造とします。
※ 電気設備とは、電気配線、電熱体(ヒータ)、照明器具、電動機(モータ)、変圧器、開閉器(スイッチ)、 継電器(リレー)などです。防爆構造については、第2章4節の 引火と発火 を参照してください。
危険物の取り扱いに伴い静電気が発生するおそれがある設備には、 当該設備に蓄積する静電気を有効に除去する装置を設けます。
指定数量の倍数が10以上の製造所には、原則として避雷設備を設けます。
避雷設備が必要な施設
指定数量の倍数が10以上の場合、次の施設では避雷設備を設けます。
| 施設種別 | 要否 | 備考 |
|---|---|---|
| 製造所 | 必要 | 指定数量の倍数が10以上の場合に設けます。 |
| 屋内貯蔵所 | 必要 | 同上。 |
| 屋外タンク貯蔵所 | 必要 | 同上。 |
| 一般取扱所 | 必要 | 同上。 |
| 移送取扱所 | 原則必要 | ただし、配管部分を除きます。 |
※ 高引火点危険物のみを取り扱う場合や、規則で定める防火上有効な隔壁を設ける場合は、適用が除外されることがあります。
危険物を取り扱う配管の位置・構造および設備の基準
| 番号 | 基準 | 試験・例外 |
|---|---|---|
| ① |
設置条件および使用状況に照らして十分な強度を有します。 当該配管にかかる最大常用圧力の1.5倍以上の圧力で 水圧試験を行っても、漏えいその他の異常がないこととします。 |
水圧試験:最大常用圧力×1.5以上で実施し、漏えい・変形等がないことを確認します。 |
| ② | 取り扱う危険物または火災等による熱によって、 容易に劣化するおそれがない材料・構造とします。 | 例外:配管が地下など、 火災等の熱による悪影響を受けるおそれのない場所に設置される場合はこの限りではありません。 |
| ③ |
外面の腐食を防止する措置を講じます。 ただし、当該配管の設置条件の下で腐食するおそれがない場合は、この限りではありません。
|
例外:設置条件上、外面腐食のおそれがない場合は適用しません。 |
| ④ |
地下に設置する場合、配管の接合部からの漏えいを点検できる措置を講じます
(溶接その他、漏えいのおそれがないと認められる方法で接合されたものを除きます)。 あわせて、配管の上部地盤面にかかる重量が配管に直接かからないよう保護します。 |
点検性:点検孔・監視ピット・漏えい検知等の手段で確認可能にします。 保護:荷重分散板・覆工などで上載荷重を回避します。 |
| ⑤ | 配管に加熱または保温のための設備を設ける場合は、 火災予防上安全な構造とします。 | 留意点:不燃材による被覆/過熱防止(温度制御・サーモスタット)/ 漏電対策/発火性のある隙間・粉じん堆積の防止 などを講じます。 |
| ⑥ | 地上に設置する場合、地震・風・地盤沈下・温度変化による伸縮等に対して 安全な構造の支持物(鉄筋コンクリート造またはこれと同等以上の耐火性を有するもの) により支持します。 | 具体例:アンカー・ガイドでの拘束/伸縮継手・フレキの挿入/ 支持間隔の適正化/上載荷重の回避・転倒防止 などを講じます。 |
学習メモ:
電動機および危険物を取り扱う設備のポンプ・弁・継手等は、 火災の予防上支障のない位置に取り付けます。
クイズ
次は第1章23節:屋内貯蔵所の基準に進みます。